次世代の「ガバいこみマスター」を育成する

「ACADEMY OF GABA-IKOMI」

2024年11月、岐阜県美濃市にある複合施設THE GROUND MINO内にあるアトリエHIJIRI TOUGANEにて、陶芸家・東金聖による新しい教育プログラム「ACADEMY OF GABA-IKOMI」がスタートします。これは、地元の『中学生、高校生』のみを対象に、無料で陶芸におけるガバいこみと組み立て技術を学べる特別なアカデミーです。

伝統技法「ガバいこみ」とは?
ガバいこみは、美濃焼の伝統的な形成技法の一つで、吸水性に優れた石膏型に泥状の土を流し込み、土の水分を吸い取って固めることで器を作り上げる手法です。かつて世界の陶芸産業に衝撃を与えたこの技法は、手作りならではの温かみと美しさを誇ります。しかし、大量生産の波に押され、その技術を受け継ぐ人が少なくなりつつあります。


次世代へ伝える使命
東金聖は、ガバいこみ技法が持つ可能性を再認識し、未来の陶芸家たちにこの貴重な技術を伝えたいと考えました。アカデミーでは、年間6名の中学生・高校生を招待し、2ヶ月間にわたり、週に12度のセッションで作品制作を行います。参加者は、2つの器作品を作り、一つは自分へのプレゼント、もう一つは都内で開催される展示会に出展します。


地場産業の未来を担う子どもたち
このプログラムの目的は、地場産業で長らく失われていた手作り技法を学び、将来的に地元の陶芸産業で活躍できる人材を育成することです。特に、子どもたちに地域の産業とのつながりを感じてもらい、手仕事の魅力を再発見してもらうことを目指しています。さらに、彼らが作り上げた作品は都内や海外の展示会で紹介され、多くの起業家や陶芸愛好者たちの目に触れることになります。


美濃焼の未来を創造する 美濃焼の未来を創造する

東金聖は「陶芸を通じて、子どもたちに地域の伝統を知り、その中にある就職の可能性を見つけてもらいたい」と語ります。過疎地では、多くの子どもたちが都会へと就職先を求める一方、後継者がいないことで地場産業が衰退する現実があります。このアカデミーを通じて、地域産業の魅力を伝え、子どもたちに地元で重宝される人材としての道を知ってもらうことが期待されています。魅力ある産業としての認知が高まれば、地元に根付く選択肢を考える子どもたちも増えるかもしれません。

授業内容

1回目:

鋳込みの歴史と現状を学ぶ
過去の有名な鋳込み作品や現在の鋳込み作品を紹介し、美濃焼と鋳込みの地場産業について知る。

石膏型について学ぶ
鋳込みに使う石膏型の重要性とその仕組みを学び、自分の作品をどのように作るかをデザインする。
デザインは、東金聖の既存作品の石膏型から選んで行う。

2回目:

鋳込みの実技
前回デザインした作品を作成開始。粘土から泥の作り方を学び、準備した泥を石膏型にいこみを行う。型から取り出した土を組み立て、一つ目の作品を完成させる。

3回目:

2個目の作品を作る
1つ目と同じ手順で、2つ目の作品を制作する。


4回目:

窯の使い方と土の特性を学ぶ
土の乾燥や性質について学び、完成した作品を仕上げ、素焼きのために窯に入れる。

5回目:

釉薬(ゆうやく)と着色の勉強
素焼き後の作品をやすりがけし、釉薬を塗って色を付け、再び窯に入れる。ロゴチップも制作。

6回目:

2回目の着色と仕上げ作業
透明釉薬を塗り、窯に入れる。撥水液を使用した細かい作業も行う。

7回目:

金彩と最終仕上げ
窯から出した作品を金ヤスリで磨き、金彩を施して最終焼成を行う。

8回目:

最終仕上げと作品発表
作品を磨き、必要な修正を行い、完成させる。レポートを書き、完成した作品を専用の箱に詰めて持ち帰る。
生徒が希望する場合の展示会参加や、その後のバックアップ等サポートを行います。

ACADEMY OF GABA-IKOMI」は、
ガバいこみを通じて未来を創造するための一歩であり、地場産業の再生と次世代の育成という二つの大きな目標を掲げています。

お問い合わせ先
参加希望や詳細についてはコンタクトフォームよりご連絡ください。